スマートっていう人の功利主義(ユティリタリアニズム)についての本も読んだ。本っていうか論文程度の長さだけど。これ、薄っぺらな本なのに22ドルもするんだよ。高すぎ! ミルに比べたらスマートの文章はすっごく読みやすい!! ほっ、よかった。今回の論文は、ミルじゃなくてスマートについて書いてもいいんだ。前回奴隷制度って書いたけど、細かく言うと、サディストの集団がひとりの無実な人を痛めつけて殺して楽しむことを功利主義は批判できるのか、っていう問題。多くの人の幸せのために小人数が犠牲になってもいいのか、っていう問題だよね。スマートもこれについて言及してる。でも、ちょっと違うバージョン。まったく無実の人をひとり殺せば他の多くの人が助かる、っていう場合。スマートは、いやいやながらも、この場合には無実の人を殺すのが功利主義に基づく行動だ、って言っている。ホントにかなり、認めるの嫌そうで、何回も、このような状況が現実に起こるとは思えないが、とか、起こらないで欲しいと願うしかない、とか、言い訳がましく言っている。この場合の殺人は、必要悪だよね。でも、サディストの例の場合は、ちょっと状況違う。だって必要悪じゃないもん。サディストが殺人をしなかったら、サディストが楽しくない、っていうだけで他に何か悪いことが起きるわけでもない。サディストがその結果怒って暴動を起こしてもっと多くの人を傷つける、とか・・・有り得るけどあんま現実味無いしね。サディストが我慢すればいいだけの話。スマートが28ページで紹介しているネガティブ ユティリタリアニズム(最大幸福ではなくて、できる限り“痛み”を取り除くのが使命)を適用すれば、サディストは殺人をしないべき、っていう結論になるね。でもスマートはネガティブ ユティリタリアニズムを批判しちゃってるからなぁ。なんでも、ネガティブ〜 は、全人類の破滅をサポートしてしまうらしい。なんで??? 理由は、スマートの弟(兄?)が他のところに書いたらしい。えぇー、ちょっと説明してくれよ〜。私はネガティブ功利主義(否定的功利主義とか消極的功利主義って言えばいいのかな?)は良いと思うなー。だって、幸せの定義にみんなが合意するのが難しいけど、痛みとかSufferingはだいたいみんな同じような意見を持ってると思うし。幸せの定義っていうのもこのサディストの例を考える上で重要だよね。だってサディストからしてみれば人を拷問にかけるのは幸せかもしんないけど他の人から見たら幸せじゃないし。それなら、サディストの行為は人の幸福のうちに入らないから功利主義者でも批判することができる。人が幸せだと信じていることを他の人が、あんた、それは実は幸せじゃないんだよ、って否定する権利ってあるのかなー?? (プラトンは、ある、と言う。)ミルは、結構この点について書いているね。ミルによると下級な幸せと上級な幸せがあるから、サディストの幸せはミルによれば下級な幸せだろうね。下級どころか、幸せのうちに入らないかも? 快楽と幸せは違うとか言ってたような気がするから・・・(うろ覚え)。だからミルはサディストの殺人を非難することができるね。でもスマートはどうなのかな? ミルについて書くかスマートについて書くか、決められない〜。

このあいだ、満足な豚と不満足なソクラテスについて書いたけどちょっと間違ってた。私は、満足な豚は幸せなのかと思い込んじゃったけど、幸せじゃないんだって。不満足なソクラテスのほうが幸せなんだって。スマートが説明してくれたからよくわかった。満足と幸せは別なのねーー、ミルにとっては。なるほど、なるほど。